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八王子市への転入を検討している方々に注意しておいてほしいのが、土砂災害です。八王子市内で土砂災害警戒区域に指定されている箇所は、2,172箇所。都内全域の指定箇所が約7,800箇所なので、実に約1/3は八王子市に集中している計算になります。もちろん八王子市全体が危険という訳ではなく、一部に危険な箇所があるということです。ここでは、八王子市における土砂災害の危険性や、市における対策、危険なエリア・安全なエリアなどを具体的に解説しています。
都内の土砂災害警戒区域の1/3が八王子市に集中
まずは東京MXテレビのニュースから、次の動画をご覧ください。
東京MXニュース報道によると、都内で土砂災害の危険性がある場所は約15,000箇所。そのうち7,800箇所は、すでにに土砂災害警戒区域に指定されています。
土砂災害警戒区域とは
土砂災害が発生した場合に、該当地域の住民の生命や身体に危害が生じる恐れが認められる区域のこと。過去の災害におけるデータなどを基に指定されます。
都内で指定されている土砂災害警戒区域約7,800箇所のうち、約1/3にあたる2,172箇所は八王子市に集中しています。
ちなみに、東京都の面積は2,188キロ平方メートルで、八王子市の面積は186.4キロ平方メートル。単純に割り算すると、八王子市は東京都の8.52%を占めていることになります。面積比率を基準に考えれば、八王子市における土砂災害警戒区域の比率も8.52%程度とならなければ不自然でしょう。
ところが実際には、上記の通り、都内の土砂災害警戒区域の約30%は八王子市にあります。確率的に考えて、八王子市は際立って土砂災害の発生可能性が高いと考えなければなりません。
土砂災害に対する八王子市の現在の対策
土砂災害の危険性が高いことが客観的な事実である以上、八王子市では市が率先して様々な被害回避の対策を講じています。
実際に八王子市が行なっている対策について、以下のニュース映像をご覧ください。
2008年8月末、八王子市では4日間にわたる豪雨に見舞われました。8月の総雨量の約4割が4日間で降ったということなので、短期的に発生した総雨量の勢いは想像を絶します。
この豪雨の際、八王子市初沢町では川が氾濫して水が街に流入。かつ、豪雨の影響による激しい土石流が発生しました。
しかしながら初沢町では、これだけの豪雨被害を受けながらも、死者はおろか負傷者すら一人も出ませんでした。
実は豪雨が発生する2ヶ月前、町では、万が一の自然災害に備えた避難訓練を行なっていたのです。自然災害が生じた時に、一人ひとりは、そして地域全体はどのように行動すべきかが、全員の頭に新鮮な感覚として入ってた矢先の豪雨。皆が冷静に行動できたからこそ、負傷者は一人も生じなかったのでしょう。同時に、日頃からの避難訓練がいかに大事か、ということを思い知らされる教訓にもなりました。
テレビのインタビューに対し町のある住民は、自然災害に対する住民たちの意識が変わった、と語ります。行政に任せるだけではなく、住民一人ひとりが自然災害に対する意識を高く持つべき、と。
土砂災害に対する現在の八王子市の取り組み
八王子市では、2008年の土砂災害を含めた過去のさまざまな自然災害を教訓とし、現在、市内の住民に対して様々な働きかけや啓蒙活動を行なっています。
市内のハザードマップの作成を進めるとともに、ツイッターによる市民への防災情報提供なども実施。防災訓練も含めた「ソフト面」の対策を徹底しています。
市の防災課担当者によると、土砂災害対策としての砂防ダムを市内全域に完備するには莫大な費用がかかり、かつ完成までには何百年もかかる、とのこと。ハード面を強化することも大事である一方、初沢町の例のように、ソフト面を強化することは即効性のある有効な防災対策になる、と市は考えているようです。
市の担当者は、市内の土砂災害対策をまとめて次のように語ります。
「行政の「公助」はもちろん大事だが、地域の共助、市民一人ひとりの自助をどう高めていくかかが大事」
八王子市内で土砂災害を注意すべき地域
八王子市内で土砂災害に注意すべき地域を、一部ご紹介します。ここで紹介する地域以外にもたくさんの場所があるので、実際に八王子市内に住宅の建築をお考えの方は、東京都建設局が交渉している「東京都 土砂災害危険個所マップ」を確認してください。
八王子市内における「土砂災害警戒区域」(一部)
上恩方町、小津町、裏高尾町、美山町、上川町、高尾町、初沢町、南浅川町、西寺方町、西浅川町、東浅川町、甘里町、川口町、犬目町、樽原町、横川町、弐分方町、川町、元八王子町一・二・三丁目、長房町、戸吹町、宮下町、高月町、加住町一・二丁目、宮下町、丹木町一・二・三丁目、谷野町、滝山町一・二丁目、みつい台一・二丁目、左入町、中野町、中野山王二丁目、尾崎町、宇津木町、梅坪町、大船町、寺田町、みなみ野五丁目、七国一・二・三・四・六丁目、城山手一・二丁目、横川町、散田町二・三・四・五丁目、めじろ台一・二・四丁目、山田町、緑町、狭間町、初沢町、館町、鎚水、堀之内、堀之内三丁目、暁町、大和田町、上野町、万町、台町、緑町、子安町、北野台、など
特に上恩方町と小津町は、土砂災害の発生リスクが高いエリアとして警戒が必要とされています。
八王子市内における土砂災害発生リスクの少ないエリア
六本木、西麻布、赤坂あたりにも土砂災害警戒区域が存在しているほどなので、日本全国「ここなら絶対に安心」という場所はありません。
そのような中で、八王子市内の中でも比較的土砂災害のリスクが低め、という場所をあえて挙げるならば、関東ローム層による台地でできたエリアでしょう。
具体的には、石川町のあたりは関東ローム層が強固で、地盤が強いとされています。また、石川町から西に移動して八王子駅や八王子市役所のあたりも、概ね地盤は良好です。
なお、比較的安全とされるエリアであっても、川の近くの場合、豪雨で川が氾濫するリスクがあるので注意してください。
どのような場所に住んでいても我が身を守る対策をしっかりと
土砂災害が起こりやすい地域に豪雨が降っても、かならずしも土砂災害が発生するとは限りません。逆に、土砂災害の恐れがほとんどないとされている場所であっても、豪雨の影響によって被害が生じる恐れがあります。
どこに住んでいようとも、自然災害に対する対策は必要。自分の身を、そして家族の身を守るため、万が一のことが発生した際の行動指針を明確にしておくようにしましょう。
自宅周り以外の場所にも警戒を
今後の調査が進むと、八王子市内にはさらに土砂災害危険区域が追加される可能性があります。市や都が発表する情報の中にご自宅の周りが追加されていないかどうか、常に敏感になっておきましょう。
また、自宅周りだけではなく、勤務先周り、移動の道中にも危険なエリアがないかどうか、よく理解しておいてください。土砂崩れやがけ崩れは、いつ何時、どのような場所で発生するか分からないからです。
自宅周りだけではなく、ご自身の生活導線における危険個所も確認し、万が一の豪雨などの際には近寄らないようにすることが大切です。