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暮らしの情報コラム
八王子市は、ゴミ処理政策に非常に熱心な街。ゴミ処理に関する細かな目標を設定し、毎年、目標の達成率を確認したり、目標を立て直したりしています。市民もこの政策に共感。各家庭、ゴミ排出量の削減やリサイクル率の向上などを意識し、市が目指す清潔な街作り・エコな街作りに協力しています。ここでは、八王子市におけるゴミ処理政策について、具体的に解説します。
八王子市におけるゴミ処理政策の目標と実態
八王子市では、6つのカテゴリに分けたゴミ処理政策を実施しています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.一人一日あたりの家庭系ゴミ排出量(資源物を除く)
八王子市では、平成16年10月より、家庭系ゴミのゴミ袋を指定。指定された袋は有料での購入となりました。これに伴い、家庭系ゴミの排出量は2年で70%程度まで減少。以後、概ね横ばいの状態が続いています。
2.一日あたりの事業系ゴミ排出量 (資源物を除く)
平成17年度に130tあった事業系ゴミの排出量は、市の削減政策に呼応する形で年々減少。平成23年には95tまで低下しました。概ね市の目標を達成しています。
3.リサイクル率
平成16年10月から実施された家庭系ゴミ袋の有料化に伴い、リサイクル率は著しく向上しています。ただし、市のリサイクル率目標に対して、まだ10%弱の開きがあることが現状です。
4.埋立処分量
平成18年7月から実施された焼却残渣エコセメント化に伴い、埋立処分量は急激に減少。平成23年の目標値である1,308tに対して449tを実現するなど、目標値を大幅にクリアしています。
5.CO2排出量(削減率)
平成15年度以降、年度によって上下はあるものの、全体としてはCO2排出量が減少傾向にあります。平成23年度の時点で、すでに平成28年度の目標を達成しました。
6.ゴミ処理経費
平成17年度における市民一人あたりのゴミ処理経費は18,092円/年でしたが、平成23年度に至り、8,573円/年と半分以下まで減少しました。目標を大きくクリアする結果です。
八王子市ではゴミ袋が有料&戸別回収
スーパーのレジ袋をゴミ袋に転用している人も多いと思いますが、八王子市では、市が指定したゴミ袋でなければ家庭ゴミを捨てることができません。指定のゴミ袋は、有料となります。
家庭用ゴミ袋の価格(すべて10枚入り)
5L(ミニ) | 10L(小) | 20L(中) | 40L(大) | |
---|---|---|---|---|
可燃ゴミ専用袋 | 90円 | 180円 | 370円 | 750円 |
不燃ゴミ専用袋 | 90円 | 180円 | 370円 | 750円 |
可燃ゴミは青色の袋、不燃ゴミは黄色の袋になります。
また多くの自治体では、指定のゴミ置き場へ近隣住民がまとめてゴミを置く形を採用していますが、八王子市では、ゴミを戸別で回収する形を採用しています。指定の曜日に、自宅の玄関先の道路に面したところにゴミを出す、といった形式です(マンションの場合は共同のゴミ置き場)。
ゴミ袋の有料化によるリサイクル率の向上
「ゴミ袋が有料」と聞いて、驚いた方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、ゴミ袋が無料である地域は、むしろ少数派。比較的人口の少ない地域からゴミ袋の有料化が始まり、2002年の時点では、すでに全国の約8割の自治体においてゴミ袋が有料となっています。
ゴミ袋の有料化は、ゴミ処理政策における2つの変化をもたらします。
ゴミ袋が有料化されるとゴミの排出量が減る
当然と言えば当然ですが、ゴミ袋が有料になると、家庭ゴミの排出量は減ります。ゴミを出せば出すほど家計に響いてくるため、なるべくゴミを出さないように意識が働くからです。ゴミになりそうなムダな買い物も減るでしょう。
ちなみに、週3回のゴミ回収が行なわれているエリアの場合、一般的な家庭における1週間あたりのゴミ袋代は100円程度、と言われています。1年は52週間あるので、年間のゴミ袋代は5,000円前後となるでしょう。
ゴミ袋が有料化されるとリサイクル率が上がる
ゴミ袋を有料化している地域では、通常、資源ゴミ(古紙など)の回収については無料のままとしています。
ゴミ袋が有料になる前は、たとえばティッシュの箱や贈答品の包装紙などの資源ゴミを、可燃ゴミとして処理していた人も多かったはずです。なぜなら、可燃ゴミと資源ゴミとの分別が面倒だからです。
しかしながらゴミ袋が有料になると、ゴミが増えれば増えるほど、家計の負担が大きくなります。結果として、無料で回収してもらえる資源ゴミへの分別が進む、ということになります。
実際、ゴミ袋を有料化した自治体では、ほぼ例外なく資源ゴミの量、言い換えればリサイクル率が大幅に向上しています。
八王子市のゴミ問題への取り組みについて
八王子市は平成16年のゴミの有料化以降もゴミの問題に取り組み、平成27年には人口50万人以上の都市で1人当たりのゴミの排出量が全国で一番少ない都市となりました。
その実績が買われ、JICA(国際協力機構)が実施している「JICA草の根技術協力事業」に協力を要請され、ゴミ問題に悩まされているミクロネシアのゴミ減量活動に貢献しています。
こうした活動を通じて、市長は「本事業を通して世界市民を育成するとともに、世界各地および同市に貢献する有為な人材を輩出していきたい」と発言しています。